宮崎がカジノ候補地となっている理由とは!?


現在、政府与党にてIR実施法案の国会上程準備が着々と進められています。
現在の予定では、4月27日にカジノ法案が閣議決定され、ただちに国会に上程されて審議が行われる模様です。
依然として、国会は野党がさまざまな法案について審議拒否を行っていますが、世論が審議促進を支持していることからIR実施法案についても、円滑に審議が行われる見込みです。
今国会でカジノ法案が成立すれば、どの場所にカジノを含む統合型リゾート施設が誘致されるかが次の焦点となります。
今回は、なぜ宮崎がカジノ誘致の候補地となっているのかについて述べてみたいと思います。
カジノが宮崎に決定する可能性と概要(招致コンセプト)
カジノ誘致は宮崎のシーガイア破綻がきっかけ
宮崎へカジノ施設を含む統合型リゾート施設(IR)を誘致しようという動きが顕在化するきっかけとなったのは、リゾート施設シーガイアの経営破たんでした。
シーガイアは、宮崎県宮崎市に総合保養地域整備法(リゾート法)の第1号指定として「宮崎・日南海岸リゾート構想」の中核施設として建設され、運営会社としては、宮崎県や宮崎市が出資する第三セクター方式で、フェニックスリゾート株式会社が設立されました。
そして、世界最大級の室内プール「オーシャンドーム」やゴルフコース、ホテル、国際コンベンションセンター、アミューズメント施設を備え、1994年に開業したのです。
ところが、1994年にはすでにバブル経済は崩壊しており、開業当初から利用客数は低迷しました。
その結果、一度も黒字経営を達成することなく、2001年には約3200億円の負債を抱えて会社更生法を申請し、アメリカの投資会社に約160億円で売却されたのです。
その後、2012年になりセガサミーホールディングス株式会社が、フェニックスリゾート株式会社の経営権を取得したことが、宮崎へのカジノ施設を含む統合型リゾート施設(IR)の誘致活動の発端となっていくのです。
セガサミーホールディングスのビジネスモデルと人脈

セガサミーホールディングスは、ゲーム業界やパチンコ・パチスロ業界の大手企業ですが、近年はカジノビジネスやエンターテインメントビジネスにも積極的に進出しています。
とくに、韓国では「パラダイスシティ」というIRを運営しています。事業規模としては、カジノ施設だけで15500㎡の広さがあり、スロットマシンやテーブルゲームを楽しむことができます。また、約700室のホテルがあり、約3000名収容可能なコンベンションセンターがあるほか、商業施設やエンターテインメント施設も2018年度には開業する予定となっています。
セガサミーホールディングスは、韓国で着々とカジノ施設を含む統合型リゾート施設(IR)の運営ノウハウを蓄積しており、それを宮崎のシーガイアで生かそうと考えているのです。
また、セガサミーホールディングスでは、宮崎へのIR誘致に向けた布石を着々と打っています。
2017年12月には、アメリカネバダ州にてゲーミング機器製造と販売のライセンスを取得しています。
このライセンスの審査対象は、セガサミーホールディングスの経営体制や訴訟歴などだけではなく、里見会長個人の資産や職歴、学歴、訴訟歴、交友関係まで及ぶことから、洗いざらい調べられたうえでライセンスを取得したことになります。
この点は、宮崎へのIR誘致に向けて大きなアピールポイントとなると考えられます。
なお、新聞朝刊の「首相動静」を読むと、数ヶ月に一度、セガサミーホールディングスの里見会長と安倍総理が会食をしていることに気がつきます。
両者が親密な関係であることを認識することができますし、おそらく里見会長は宮崎へのIR誘致を熱心に働きかけているものと推測できます。
参考ページ
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宮崎県、宮崎市、県経済界がカジノ誘致に積極的
2013年11月には、宮崎県と宮崎市、地元経済団体が集まって「統合型リゾート研究会」が設立されました。また、宮崎県商工会議所連合会がカジノ誘致研究会を設立しています。
さらには、2014年に実施された宮崎県知事選挙では、現職の河野知事は公約として、条件付きながらIRの整備を盛り込み、MICEの誘致などと並んで、観光振興策のポイントに掲げていました。
このため宮崎県知事はIR誘致については前向きな姿勢を持っていますし、宮崎県民もIR誘致を支持したと受け止めて良いと思われます。この後、2017年11月中旬には、河野知事はセガサミーホールディングスが韓国で運営しているパラダイスシティを視察しています。
そして県議会では、超党派で国際観光産業振興議員連盟も結成されており、宮崎県では知事、議会、財界が一体となって宮崎シーガイアへのIR誘致に向けて積極姿勢を示しています。この点は、IR区域認定に向けて好材料といえそうです。
宮崎はインフラが整っており、カジノ初期投資費用が少なくて済む
宮崎のシーガイアには、すでに多くの施設が建設され、開業していることからカジノ施設を含む統合型リゾート施設(IR)区域の認定を受けた場合の初期投資費用は、他のカジノ候補地と比較して少額で済む見込みとなっています。
シーガイアにすでに建設されて運営されている施設としては、2000年に主要国首脳会議(九州・沖縄サミット)の外務大臣会合が開催されたシーガイアコンベンションセンターを挙げることができます。
この施設は最大5000人を収容することが可能であり、日本屈指の大型コンベンションセンターとなっています。世界各国の要人を迎えたことのあるこの施設は、IR区域認定に向けて大きなセールスポイントといえます。
2000年の主要国首脳会議(九州・沖縄サミット)の外相会合が開催されるなど、シーガイアは日本屈指の大型コンベンションセンターでもある。
また、複数のホテルが建設されており、そのなかでもシェラトン・グランデ・オーシャンリゾートは43階建ての高層ホテルであり、客室からは遠く太平洋を臨むことができます。
他には20面のテニスコートや、複数のゴルフコースもあります。とくに毎年ダンロップフェニックストーナメントが開催されているフェニックスカントリークラブは、名門ゴルフコースとして知られています。
カジノ候補地として宮崎の懸念材料


宮崎の懸念材料としては、2018年4月の与党合意を受けて、宮崎県知事が一転して、消極姿勢に転じたことが挙げられます。
具体的には「現在準備されているIR実施法案におけるIR施設は大規模であり、宮崎県がIR誘致に積極姿勢になれる状況ではなくなった」と発言している点にあります。
さらに「県内でのIR誘致の実現性は低いと認識している」とまで発言しています。
シーガイアへのIR誘致については、今後の国会審議の状況や、河野知事の姿勢も、大きな焦点となりそうです。
カジノが宮崎に決定する可能性と概要(招致コンセプト)
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